やっぱり、自分が描いた施工図をもとに完成した建物を生で見たときが一番感動するんじゃない。

そうだね。私は1年目の7月に初めて着任して以来、ずっと今の現場にいるけど、とにかく大規模な現場で土地も広いから、工事現場に出る機会が全然なくて…。一日中、工事現場から少し離れた事務所の中にいて、図面を描いて終わるというサイクルだから、図面を描いても実際にどのようなものが建てられているのか想像がつかなかった。でも2年目になって初めて工事現場を回った時、私が描いた図面通りに作られていたのを見た時は喜びと達成感に浸れたな。

図面を描いているだけだとスケール感が分からないよね。だから、完成したものを初めて見た時は「俺は、こんなに大きなものを描いていたのか！」ってビックリしたよ。

僕は3Dを担当しているから構造物の全体的な特徴は把握しやすいけど、それでもPCのディスプレイで見るのと実際のものを見るのとではスケール感が全然違う。

工事現場に出ると、学びもたくさんあるよね。寸法の書き方や線の引き方も、どうしたら職人さんが作業しやすくなるか考えるようになったし。

私も初めて工事現場を回った時は、勉強する絶好の機会だと思ってバシバシ写真を撮ったな。

工事現場の仮囲いの中で仕事できるのも醍醐味のひとつ。一般の人は見られない光景や工程途中の様子を見ることのはレアな経験だと思います。

ところで、みんなは職人さんと直接話す機会ってある？

うん。僕の現場では1年目から図面を描きながら工事現場にも出てたし、休憩時間に職人さんと話す機会も多いから仲良くしていただいているよ。

職人さんとコミュニケーションを取れるのはいいよね。私が職人さんたちと接するのは”けんせつ小町（建築業に関わる女性の愛称）”の活動の時くらいかな。私の現場ではけんせつ小町がいろいろな活動を行っていて、夏場には熱中症対策としてスポーツドリンクを職人さんに配って回ったよ。事務所にこもって一日中図面を描いているなか、たまに外に出て職人さんたちと接するのは気分転換になるし、「ありがとう」と言われるとやっぱり嬉しいよね。

工期が迫ると皆さん忙しいので仕方ないかもしれませんが、どうしても言葉が荒くなってしまう場面があるのはキツいな。でも、そこで落ち込んでいたらフラストレーションが溜まる一方だから、「見返してやる！」っていう気持ちを毎日仕事に励んでいるよ。

僕は、図面の修正指示を受けた際、ひと通り修正して隅々までチェックが済んで”完璧だ！”と提出したら、「こんなこともできないのか！」って突っ返された時は落ち込んだな…。

えっ、ミスだらけだったとか？

ミスというか…、指示する側の意図と僕の認識が全然違ったんだよね。

忙しいときは指示も最低限の内容になるし、相手の意図をしっかり汲み取ることが必要な場合もあるよね。そういった場面って誰にでも必ず訪れると思うんだけど、みんなはどうやって対応してる？　僕は自分の関係ない話でも、周囲の皆さんがどういう話をしているか常に聞き耳を立てていたよ。それで「なんだろう」って思ったワードが出たらすぐに自分で調べて…を繰り返したよ。1年目は知識が圧倒的に足りないからね。

僕も他の人が話していることを”盗み聞き”して、知らない単語があればすぐに調べていたよ。その結果、話の内容を理解できるようになったり、現場の流れを把握できたりして現場での”処世術”が少しずつ身についてきたような気がする。

私の1年目はわからないことをわからないまま進めていく感じで、「この作業は何のためにやっているんだろう」って、疑問を抱えたまま仕事をしていたことが多かったな。でも、わからないことは常に書き留めて、時間が空いたときに先輩に聞いたり自分で調べたりを積み重ねていけば、のちのち自分の成長を感じられる瞬間が訪れると思うな。

書き留めることは大事だよね。僕の場合、自分が失敗したら必ずメモを取り、時間がある時にメモを眺めては同じミスをしない方法を考えているよ。そうすれば、「これは失敗じゃない、のちのち成功するための試練だ」って思える。

普段からコツコツと知識を蓄えて「こんなことも知らんのか！」って言われないように”先手”を打つのは大事だよね。

その他につらいことと言えば、小さなミスがなかなか無くならないこと。図面を描くのはものすごく細かい作業だから、見落としや描き間違えをゼロにするのは至難のワザ。

それで、もしも誤った施工図が職人さんの手に渡ってしまったら、誤ったものを作ってしまう。そうすると作り直しになるし、無駄なコストも発生してしまって大変！

そして責任を負うのは上司になっちゃうからね。自分の失敗のせいでいつも温かく指導してくれる上司に迷惑をかけてしまうのはつらいよね。

チェックは絶対に怠れない仕事だよね。今後入社する後輩たちにも、これは口酸っぱく言い続けていきたいな。